中国が今抱えている最大の問題は、不動産バブルの崩壊ではなく、インフレだと思う。
というのも、食糧問題は、中国にとって非常に重要な課題で、食料品のインフレで、過去に暴動が何度となく起き、そして権力転覆が起きた歴史を持っているからだ。
昨日だったか、飢餓は人間を凶暴化すると書いたけれども、まさにそれで、今までは日本が悪いんだと摩り替えることができたけれども、こと、食料品のインフレとなれば、もはやそういうすり替えはできないと思う。
断続的な利上げを行っているのにもかかわらず一向にインフレが沈静化していない原因は、先進国の金融緩和といわれているけれども、中国の為替介入に加えて、巨大な財政出動もその下地にあると思う。
そこで、アメリカとの協議ということになるわけだ。アメリカに金融緩和を止めてくれないかということになるのではないだろうか。
アメリカだって、中国があってGMが復活したわけだし、将来の巨大消費市場ということを考えれば、その市場を痛めつけることはアメリカにとっての国益にもならない。
しかし、緩和を止めればアメリカの景気は落ち込むことになるのは明らかで、あちらを立てればこちらが立たないという、中間管理職のようなジレンマに陥っていると思う。
仮に、緩和を続けたところで、アメリカのインフレも2%に近づいていて、現在は1.5%になっていることを考えれば、QE2は打ち止めになる可能性は高い。
QE2を途中で止めたとしても、出たお金は残っているのだから、そのお金はどこかに向かわざるを得ないのは自明の理で、可能性が高いのが商品市場や株式市場ということになのだろうと思う。
オバマ政権の経済政策は成功しているという人もいるし、バーナンキ議長の方針も正しいという人もいる。しかし、冷静に、現状を鑑みると、決して成功しているとはいいがたいものがあるのではないだろうか。
しかし、他に良い選択肢が思いつかないので、批判もできない。
現在ある不安とは、債券は本当に大丈夫なのだろうかというものだ。州政府の債券は売られているし、自治体の債券も売られている。金利が急騰しているのだ。
常識的に考えて、現在の債券金利には、リスクプレミアムがないので、一段と売られる可能性は十分に考えられる。問題は、そのときにどういう展開に入ってゆくかだと思う。
タラレバ議論はスキではないのだけれども、仮に、債券市場に異変が起きれば、つまり、債券売りが起きれば、今までの景気回復はすべて水泡に帰す可能性は高い上に、とてつもない危機に見舞われることになるのは明らかなのだ。
それは、金利の上昇だけでなく、商品価格の急騰から、世界的な巨大インフレが起きる可能性もあるし、特に新興国では、ハイパーインフレに近いインフレになるリスクがあるわけだ。
そうすれば、中国やインドのように、高いインフレに苦しんでいる国のインフレは、一段と高まる可能性もある。インフレは起きてから対処したのでは遅いので、早い段階で芽を摘む必要がある。
今の米中の会談。あるいは、中銀が警戒しているのは、まさにここだと思う。
PR
COMMENT